テレアポで心が壊れそうになった話

【結論】

・恐怖を乗り越えるためには、わずかでもいい、一歩前ずつ歩みを進めるしかない

テレアポ………

聞いただけで身の毛のよだつ様な記憶が蘇る人もいることでしょう。

 

「結構です」ガチャッ

人間ってこんなに冷たいっけ?

 

「不在です」ガチャッ

次第に人の言葉が怖くてたまらなくなっていく。

 

自分の行っていることは本当に正しいのだろうか。

迷惑なことをただただやっているだけなのではないだろうか。

なんのためにこんなことをしているんだろう。。。

 

Aが入社しようとしている会社は月に30万件電話をする会社だった。

日本一電話する会社だと周囲からは言われている会社だ。

 

出社初日、まずトークスクリプトが配布された。

歴代の社員が積み上げた知恵と経験が詰まったノウハウだ。

 

「リストは同じ課の先輩からもらったやつを使ってください」

 

ヘッドセット装着、マイクテストOK

 

「1時間20件以上を目標に掛けてください」

 

電話営業、、、スタート!

Trrrrrrr……合間にトークスクリプトをとにかく確認。

 

受付の女性が出た。

「はい!株式会社○○の○○が承ります」

凄い、かわいい声だった。

 

「あ、○○の○○と申しまして、、、社長はお見えでしょうか?」

 

「ご要件はなんですか?」ツン

・・・え?今、声のトーンが変わった・・・?

 

「はい、○○の件でご連絡してま…」

「結構です」ガチャッ

 

・・・震えた、なんだよこれ。。。

会話にもならないじゃんか。

 

「Aくん、1時間20件だよ?」

残り19件………、時計の針は止まらない。

鼓動が早くなっていく、、、時間は進んでいく。。。

 

そんな毎日が2週間ほど続いた頃、次第に肌は荒れて顔に腫れ物が出来た。

スマホが震えるとおれの身体も震える。

電話というものに対して、怯え竦みあがった。

 

1ヶ月、心の限界が来た。

「もうダメだ、オシマイだ、、、吐きそう」

気分が悪くなり、10件掛けると床に倒れ込む。

 

逃げ出したい、もうやりたくない。

恐怖から逃れるためには、思考停止ソルジャーになるしかないのか・・・?

 

一ヶ月が終わり、アポイントも何件か取れたが、日々の進捗には到底届かなかった。

月何件取るために、一日何件取るのか、乖離施策をどうするのか。

乖離が多すぎて頭が混乱して気持ち悪い。。。

 

2ヶ月目、、、

 

「これが最後だ、最後は自分の思い通りにやって失敗したい」

そんな気持ちで、社内のマニュアルと先輩達がくれたトークスクリプトは処分した。

 

自分で使う資料は自分で0から作り始めた。

自分に降り掛かるストレスから開放されるためにも、創造性を身を任せて現実逃避の創作作業に励んだ。

 

「自分の手で自分のために自分だけのノウハウを自分で創り出したい」

 

おれはとにかく声に耳を傾けた。

相手が何を言っているのか、なぜこの言葉を言われたのか、どんな気持ちで言ったのだろうか。

 

想像に想像を重ねて思考を続けた。

 

想像を基に3日に1回は全く新しい切り口を作った。

トークスクリプトはVer4まで増えた。

 

2週目、突然違和感を感じるようになった。

「・・・声に色が付いて、見える」

 

そう、他人の声に色が付いて見えるようになった。

 

黄色いとアポが取れる。緑は興味関心を持ってくれた。心を開いた合図。

紫はダメだ、印象が悪い。

 

例えるなら、「音に色が乗って見える」状態、

突如として取り方が「分かる」ようになった。

 

終わってみれば…なんと、アポ率1.95%が出ていた。

最後の悪あがきが実った瞬間だ!

 

社内平均が1.0%、つまり100件掛けて1件取得が平均だが、なんと50件で1件取得のアポ率が出た。

経営者からアポイントを取得することは並大抵のことではないと言われている。

それだけでコンサルティングが成立するくらい難しい。

 

当然、社内でアポ率はナンバーワンだった。

光が見えた。。。

 

自己満足に浸った、とても嬉しかった。

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