
「小指の先には天使がいた」
勤続30年のベテラン刑事、平山幸雄はそう言い残して退官した。
そう、今日、誰にも負けない熱い情熱を持ち、若手から尊敬される男は立派な刑事生活に幕を下ろしたのだ。
この町では年間20件もの殺人事件が起きるが、住人はおろか警察でさえ死体の小指を見たことはない。
平山は遂にこの謎を明らかにすることが出来なかった。
その事実が、あの最後の言葉に影を匂わせている。
そして本日、署に小さな小鼓が届いた。
中には親指が詰められており、爪にはマニキュアで小さく名前が塗られていた。
その名は、平山幸雄。